最近、AIに対する関心が高まり、ChatGPTなどが注目を浴びています。
しかし、AIに触れる機会が増える一方で、「AI疲れ」という現象も起きています。
AIがあらゆるサービスに使用されているため、これまでと異なるストレスや新しいAIアプリに追いつけない焦燥感が生まれるのです。
この記事では、AI疲れを解消し、AIに振り回されるのではなく、簡単に扱えるようになるための対策方法をお伝えします。
Contents
AI疲れの要因は?
まず、AI疲れの原因は大きく2つあります。それぞれ説明させて頂きます。
- 欲しい答えが得られないこと
- 何を聞けばわからないかということ
欲しい答えが得られないこと
1つ目は、欲しい答えが得られないことです。
例えば、Officeの単純作業をAIに頼みたいと思っていても、具体的な指示を与えられないため、求めている答えをAIから得られないという状況です。
この場合、AIに明確な役割を与えることが重要です。
「あなたは小学校の先生です。小学生でも理解できるようにこの医療製品のメリットを教えてください」と具体的な指示を与えることで、AIの文章は柔らかく簡単で、求めている答えに近づくでしょう。
さらに、具体的な数値を与えるとより正確な答えを導き出せます。
「あなたは優秀なテレビディレクターです。次のアイディアをブラッシュアップし、最適だと思うアイディアを3つテーブル式で教えてください」と数と指示の範囲を絞るだけで、今までのAIとの問答とは異なるコミュニケーションが実現します。
何を聞けばわからないかということ
2つ目の原因は、何を聞けばわからないかということです。
優れたAIを手に入れても、何を聞けばいいかわからず、「明日の天気は?」や「⚪︎⚪︎という会社について教えて」といった、検索エンジンですら分かる質問しかできません。
周囲のSNSや同僚がAIを使いこなしている中で、使いこなせない劣等感からAI疲れが生まれるのです。
このような疲れには、自分の生活で面倒なことをAIに代わってもらうことが効果的です。
例えば、仕事のメールや毎日の献立など、簡単なものから始めましょう。
特に、面倒な動詞に注目しましょう。
「考える」ことが面倒くさいのか、情報を「まとめる」ことが面倒くさいのか、上司やチームの人に要約して「伝える」のが面倒だと感じるのか。
その動詞によって、AIに与える指示も異なります。
自分の仕事や生活で何を代替して欲しいかを把握し、AIに代替してもらうことでストレスが軽減されるはずです。
AIを使用する際の注意すべきポイント
AIを使う際にはいくつか注意すべきポイントがあります。
- AIにインプットされている情報は「過去」のものであるということ
- AIとプログラミングの違いを理解すること
AIにインプットされている情報は「過去」のものであるということ
生成系AI(例:ChatGPT)は、私たちの知識を超えた能力を持ち、素晴らしい出力をしてくれます。
しかし、そのインプットされている情報は「過去」のものであることを忘れてはいけません。
例えば、現在利用できるChatGPT3.5は2021年9月までの情報しか持っていません。
つまり、2022年以降の情報については答えを持っていないのです。
したがって、普遍的な情報や正解がある分野に絞って答えを求めると、生成系AIの力を最大限に活用できます。
また、AIはインプットされた情報を組み合わせて答えを導き出します。
そのため、情報のソースを持つことができません。
その結果、位置情報や店名、会社名などを間違えることがあります。
正確な情報が必要な場合は、情報が更新されている別のツールを利用しましょう。
AI疲れを避け、自分たちの生活の疲れをAIで解消するためには、AIの捉え方が非常に重要です。
AIは単なるマニュアルではなく、優れた「ツール」です。
適切な指示方法を理解していれば、AIはやって欲しいことを実行してくれる部下のような存在となります。
AIとプログラミングの違いを理解すること
AIとプログラミングの違いを理解することも重要です。
プログラミングで設計されたコンテンツとAIコンテンツには大きな違いがあります。
判断プロセスや回答方法が異なるのです。
判断プロセスでは、AIは情報を判断する際に、インプット済みのデータから正解だと思われる方を自動選択します。
対して、プログラミングは既に入力された計算式に基づいて、正解の合否または選択を行います。
例えば、将棋AIの場合は、盤面の勢力図を色や感触で捉え判断するが、プログラミングは設計された範囲内の戦略から最適解の近似値を導いて出力します。
回答方法では、AIは持っている情報から考えて答えを導くのに対し、プログラミングには与えられている思考回路から答えに当てはまるものを算出します。
例えば、男か女か曖昧な人物画の性別を判断せよ、という命題に対し、前者は写真を見てある種「雰囲気」で回答し、後者は男女の差異を基準点にし、それらから性別を与えられている思考回路で回答できる場合のみ回答します。
AIは情報から考えて答えを導き出し、幅広い応用が可能です。
このような認識と知識を持ちながら、AIのアプリケーションを利用しましょう。
押さえておきたいAIアプリケーションを3つ
以下に、特に押さえておきたいAIアプリケーションを3つ紹介します。
- ChatGPT
- Stable Diffusion
- メタバース生成AI
ChatGPT
生成系AIの代表格であり、AIブームを牽引してきた存在です。
特に、Officeの単純作業や教育分野で注目されています。
また、プログラミングコードの作成やスケジュール管理、アイディア出しにも役立ちます。
前述のように、指示方法を工夫するとより正確かつ強力な出力が可能です。
実業家の堀江貴文氏の本が全てChatGPTで執筆されたこともあり、彼の言葉を彼が言いそうな言い回しで書くことも可能です。
AIと人の線引きを曖昧にする大発明と言えるでしょう。
ChatGPTの始め方・やり方に関しては、こちらの記事をご参照ください。
Stable Diffusion
画像生成系AIの代表的なアプリケーションです。
Stability AI unveils Stable Diffusion XL 1.0, now available on Amazon Bedrock for developers worldwide #StabilityAI #AI #AIcommunity #TextToImage #OpenSource #AWS #SDXLhttps://t.co/QC1mxb3dtk pic.twitter.com/2FAQAoKjLS
— Stability AI (@StabilityAI) July 26, 2023
特に人物画の出力が非常に正確で、写真と見間違えるほどの鮮明なイラストを生成します。
面白い特徴として、美少女の方が美青年よりも多くの種類を描けるという点が挙げられます。
風景画には得意な一方で、人間の手や髪の繊細な描写は苦手とされています。
生成系AIによって作られたAI写真集がAmazonランキングの首位を獲得し、人気コスプレイヤーであるえなこ氏と瓜二つのイラストが話題になっています。
⇒参考文献: コスプレイヤー・えなこさん、自身そっくりの“AIグラビア画像”にコメント 「AIに食われ過ぎて……」
メタバース生成AI
最後に紹介するのは、非常に重要な生成系AIです。
これは仮想空間を容易に生成するAIです。
注目すべき事例として、佐藤航陽氏が進める「高精度デジタルツイン生成AI」があります。
Fortniteで新宿を再現した動画がきっかけとなり、AIとメタバースの未来を予感させるものとなりました。
AIに生成させたバーチャル新宿をFortnite上にぶち込んでゲームできるようにしてみた(開発期間は3日)。Fortnite上に並行世界が作れそう。
— 佐藤航陽(さとうかつあき) (@ka2aki86) March 30, 2023
ChatGPTと連携してゲームシステム・ストーリー・会話などもAIに作らせて、VR対応できればガチのマトリックスだな。#UEFN #Fortnite pic.twitter.com/Ras5FUvtoD
このAIは、たった3日で新宿の街を完全に再現できるのです。
さらに、このAIを使ってFortniteにプラグインすることで、バーチャル世界のメタバースを完全に再現することが可能です。
無料の3DCGソフトウェア「Unreal」と生成系AIを組み合わせることで、YouTuberとしてメタバースの空間設計を行い、メタバニストとして活躍する若者も増えています。
⇒参考資料: AIによって,NPCとの自然な会話が可能に。Unreal Engine 5用プラグイン「Replica Smart NPCs」を紹介するムービー公開
生成されたメタバース世界の住人をChatGPTと会話させることで、現実と区別がつかないメタバース世界が完成しています。
国土交通省と日本国土の再現プロジェクトも進行中であり、見逃せない生成系AIです。
国土交通省さんと一緒に、日本国土の「高精度デジタルツイン生成AI」の実証実験に取り組んでいきます。もともと趣味ではじめた活動が、国の役に立つようになるのは光栄です🙌https://t.co/GpICr4zG1c
— 佐藤航陽(さとうかつあき) (@ka2aki86) July 10, 2023
AI疲れを克服するには? まとめ
生成系AIはまだ歴史が浅く、進化が続いています。
AIに興味を持ち、若年層が中心になって世界を進めていくでしょう。
AIの扱いを早く覚え、自分の仕事の疲れを減らし、生産性を高めることができる人材は高く評価されるでしょう。
初めは新しいことを始める際にAI疲れを感じるかもしれませんが、みんなが初めての試みを行っているので、楽しみながら生成系AIを活用しましょう!