NFT SBT (SoulBound Token)とは?

NFT

昨今、話題沸騰中のNFT。

その魅力とは、デジタルデータの唯一性を証明したことで、新たな価値を生み、流動性が高まっています。

しかし、そんなNFTと異なる性質を持つトークンをある1人の天才が提唱したことをご存知でしょうか?

その天才とは、イーサリアムを弱冠19歳にしてローンチしたヴィタック・ブテリン氏です。

彼が発表した「SBT」で情報社会はさらなる飛躍を遂げる可能性があります。

今回はSBTの本質と、その活用事例をお届けします。

 

NFT SBTとは?

「SBT」は、Soul Bound Token(ソウルバウンドトークン)の頭文字を取った略語となります。

日本語訳すると「魂に紐付けられたトークン」と言い換えられます。

仰々しい名前ですが、「譲渡不可能なNFT(非代替性トークン)」のことで、一度受信したら、デジタルウォレットの外に移せない特性を持つことを意味します。

前述の通り、NFTが流行したのは、その流動性によってコレクション目的、投資・投機の目的など様々なユーザーの目的を満たしていた側面があります。

しかし、それらの性質だけでは、Web3におけるアイデンティティの証明が不十分であると考えられました。

商業目的のNFT以外にも、WEB3の発展のためにSBTは生まれました。

SBTは、一度受信したら譲渡できない性質により、所有者の証明書に変わる役割を担えます。

そのため、教育資格、職歴、プロジェクトへの貢献、ユーザー認証に用いられるクレデンシャル情報、過去のローン履歴といった個人の信用に関連するデータを組み込めます。

これらの特徴から、SBTはWEB3時代のアイデンティティ(ID)の構成要素となります。

NFT SBTのメリット

SBTのメリットは大きく分けて3つあります。

  • 行動・実績・経歴の証明
  • コミュニティの共通アイテム
  • 分散型組織の構築可能性

【NFT SBTのメリット①】行動実績・経歴の証明

SBTに今までの行動実績・経歴の証明を情報として刻めます

NFTは、ウォレットアドレス以外の個人情報を刻むことは非常にリスクの高い行為になります。

なぜかと言うと、NFTは、世界中のユーザー間を渡り歩く可能性があるため、そこに氏名や経歴などの情報を加えてしまうことで悪用される危険性があります。

しかし、SBTは、譲渡不可能なNFTであるため、その危険性がありません。

そのため、ボランティアの参加者や資格、試験の合格者などにSBTを配布し、それらを証明書として活用することが可能です。

従来の履歴書の役割を複数のSBTが果たすことで、学歴ロンダリングや言葉だけのガクチカ(学生時代チカラを入れたこと)の審議を等必要がなくなります。

またSBTは、dApps(分散型アプリ)のサービス設計に組み込めます。

具体的なユースケースとして、賃貸契約、無担保ローン、大学の学位付与、DAO(分散型自立組織)への参加権、イベントチケット等が想定されています。

このように、個人の情報をSBTに刻むことで、デジタルデータにおける証明を果たせます。

【NFT SBTのメリット②】コミュニティの共通アイテム

アーティストのライブに行く際、某有名テーマパークに行く際に、多くのファンは共通のアイテムを身に付けます。

ライブTシャツやカチューシャなど共通アイテムを持つことでその一体感を高めるのです。

NFTにも、同様の一体感を高める効果はあるものの、どうしてもフリッパー目的のユーザーの出入りによって完全なるアイテムとしての目的は果たせないでしょう。

そのNFTに価値を感じなくなったり、現金化するために誰かに転売することはルール違反ではないからです。

一方で、SBTはその問題を解決できます。譲渡不可能というシステム設計であるからこそ、コミュニティの一体感をより高めます

また、イベントの参加証明としてもSBTは優秀で、だれがいつそのイベントに参加したかを運営側も把握しやすくなります。

【NFT SBTのメリット③】分散型組織の構築可能性

NFTプロジェクトの多くは、そのプロジェクトのNFTを「〇〇以上持っているとロールが付きます」という方式で、コミュニティへの貢献を促しています。

それは、プロジェクトのファンをより没入させ、深くその作品を愛してもらうという点に関してはとても効果的な戦略である一方、Web3本来の中央集権化からの脱却とは真逆のベクトルにあります。

事実、日本のトップNFTを複数持つ人のみが入れるコミュニティなども存在しており、資金を多く有している人が有利なマネーゲームの一面は否めません。

他にも、DeFi多くのプロトコルが譲渡可能なトークンを前提に設計されているため、資本力豊富なクジラ(大口投資化)や大口VCが実質的な支配権を握っている現状は存在します。

DAOは複数のアカウントから投票できるため、複数のアカウントや偽IDを用いるシビル攻撃に対して脆弱であり、DEXはトークンインセンティブを餌にオープンソースプロジェクトをコピーしたバンパイア攻撃が起きてきました。

この様に、NFT・DeFi・DAO・DEXそれぞれにおける課題をSBTによって解決できる可能性を秘めている点が大きなメリットでしょう。

NFT SBTのデメリット

SBTのデメリットは大きく分けて2つあります。

  • セキュリティの強化が必須
  • 流動性が低い

【NFT SBTのデメリット①】セキュリティの強化が必須

イベントの参加のようなライトなSBTならまだしも、資格証明や賃貸契約、無担保ローン、大学の学位などの個人情報をSBTとして発行し、それらが流出した場合、その損失は計り知れません。

情報の悪用を防ぐためにも、セキュリティは必須となります

Web3では、第三者機関に頼らない分散型組織の構築が前提となるため、自分の防御力を高めなければウォレット情報が漏洩する危険性が常に伴っています。

【NFT SBTのデメリット②】流動性が低い

流動性が低く、一度入手すると譲渡不可能な性質を持つため、運営の議決権や管理者の権限を付与する際などには注意が必要です。

入手した際のユーティリティのバランスには注意が必要です。

また、流動性が低いため、NFTや暗号資産のようなブームを起こすことは難しいでしょう。

勿論、目的が違うことは確かなのですがその認知度と実用性を世間に広めつたえるためには、一大ムーブメントとなることが必要です。

そのムーブメントの多くは、実利が伴ったものであることが多く、その壁を超えなければSBTが流行することは難しいでしょう。

NFT SBTの活用事例

ここでは、SBTの活用例を3つ紹介させて頂きます。

  •  Crypto Anime Lab パスポートNFT
  • LLACイラストレーター うむ子さん「猫曼荼羅」SBT
  • メタバース初詣限定記念SBT

 【SBT活用例①】Crypto Anime Lab パスポートNFT

まずは、SBTが「クラウドファンディング」目的で使用されている例です。

2022年11月5日、世界でも類を見ない試みである『SBTを使ったクラウドファンディング』が行われました。

クラファンの主旨は、インフルエンサー、イケハヤ氏が運営する『CryptoNinjaNFT』のアニメ化に向けた資金調達です。

クラファンの参加者は、パスポートSBTと手裏剣NFTを購入します。

手裏剣NFTをステーキングするごとに豪華特典が貰える仕組みです。

またパスポートSBTには、ステーキングした履歴が刻みこまれます。

 【SBT活用例②】LLACイラストレーター うむ子さん「猫曼荼羅」SBT

次はクリエーターさんへの「応援」を目的にしたSBTです。

猫のように生きるをテーマとするLLACがSBTをリリースしました。

LLACは発売時の価格は0.001ETH(約200円)とお手頃な価格であったものの、発売から1ヶ月も経たずに最低価格4ETH(約66万)を超える大人気NFTとなりました。

そんな大人気なLLACのデザインとそのテーマと親和性が高い密教の曼荼羅を模したSBTです。

イラストレーター猫森うむ子さんを応援する目的で発売開始されました。

 【SBT活用例③】メタバース初詣限定記念SBT

最後はイベント記念用に配布された「SBT」です。

Ninja DAOのメタバース企画。

現実世界同様に初詣の際に、お守りを買ったり、絵馬を書いたりしますよね。

このSBTはメタバース空間の初詣で購入できる2023年うさぎ柄の絵馬を模したSBTです。

1/1~1/5までの限定販売でしたが、初日で売り切れる大盛況だったそうです。

メタバース初詣記念として販売されました。

結果は、完売。 

SBT販売の収益は、イベント開催費用として使用されます。

NFT SBT (SoulBound Token)とは? まとめ

SBTによってWeb3時代は補完されます。

将来的にはAIや機械学習の発展にも寄与すると見込まれており、個人の実績証明をデジタル化した無担保ローンを実現することも可能でしょう。

紹介した様なNFTプロジェクトの更なる可能性を見出せるSBTに期待大です!