DAO構築のエキスパートUnyte(ユナイト) | 上泉CEOインタビュー

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「株式会社Unyte(ユナイト)」はブロックチェーン技術を用いてコミュニティやDAOの構築を支援するスタートアップです。

2024年2月には、東急不動産ホールディングス株式会社とMeTown株式会社が地域課題解決を目指す実証実験プロジェクト「Local web3 Lab.@渋谷」にて、DAOツール「Unyte」が使用されることになりました。

Unyteの創立は2022年と比較的新しい会社ですが、大手企業との提携も盛んで、現在Web3 界隈で最も注目されているスタートアップです。

今回はそんなUnyte代表取締役社長 上泉雄暉さん(@0xUYZ)にお話を伺いました。

Unyte(ユナイト)とは?

Unyte

Unyte(ユナイト)は、ブロックチェーン技術を用いてコミュニティやDAO(Decentralized Autonomous Organization: 自律分散型組織)の構築および高度な運用管理を支援することを可能とするプロダクトです。

既存のコミュニティ運用では、コミュニティ内での貢献が見えにくい、活動に対して還元していくのが難しい、予算を分配する仕組みがないなどの課題がありました。

また、DAOの構築にはウォレットや暗号資産の管理、ツール導入やインセンティブの設計などさまざまなハードルが存在しています。

これらの課題や参入障壁を解消すべく、GoogleやXのアカウント、メールアドレスを利用してのログインやトークン付与ルールの設定、チャットでの会話などDAO構築および運用管理に必要な全ての機能を搭載しています。

会社名株式会社Unyte
代表者代表取締役社長 上泉雄暉
設立2022年10月14日
 資本金1,010万円(資本準備金を含む)
 所在地東京都渋谷区道玄坂1丁目10番8号 渋谷道玄坂東急ビル2F-C
会社HP https://unyte.team/
公式Xhttps://twitter.com/UnyteDAO

またUnyteCEOの上泉雄暉さんは、「日本DAO協会」でRep Holderをされ、中央集権的な管理者のいない新しい組織であるDAOの健全な発展を目指して活動されています。

2024年4月22日に施行された合同会社型DAOの解禁により、DAO運営で課されていた制限も大きく緩和されました。

そのため、DAOに対する世間の関心も増えてきており、DAOのプラットフォームを運営するUnyteが注目されています。

上泉CEO インタビュー

上泉さんは、学生時代から起業を考えられていたと伺いました。

【上泉CEO】はい、そうなんです。高校生の時から、いつか自分の会社を持ちたいなと考えていました。

そのため大学では経済学部を選択しました。経営について学べると考えたんです。

大学の授業は楽しかったのですが、やはり自分の製品を作って、事業をしたいと感じるようになりました。

そのため、プログラミングを大学1年の終わりぐらいから勉強し、プロダクトを作り始めました。ポケモンカードの販売サイトを作ったりしていましたね。

当時ポケモンカードの販売サイトはたくさんあったんですが、詐欺サイトが多かったんです。

それらの詐欺サイトを撲滅するではないですが、オンラインでも当たりカードが出て、購入者にきちんと配送されるサイトを運営していました。

ポケモンカードの販売から、DAO関連の会社を起業されるに至った経緯は何かあるのでしょうか?

【上泉CEO】はい、ちょうど会社を始めようと思った理由ともリンクしているんですが、僕は「人間を労働から解放したい」というのが自分の人生のテーマなんです。

そのため、今のDAO事業をやっているというのが回答です。

元々社会に対する疑問みたいなのがありまして、それが今の会社Unyteを作るきっかけになっています。

私は中高一貫校に在籍していたんですが、中学は野球が好きだったので野球部だったんです。

色々練習をしていたんですが、野球部ってやっぱ中央集権的な組織なんですよね。

自分はバッティングにすごい課題があると思い、バッティングを中心に練習したいなと思っていても、組織として今日は守備の練習をやるぞと言われたら、やらざるを得ない状況でした。

そこに疑問みたいなものを常に感じていて、あんまり部活動としての野球は好きじゃなかったですね。

疑問を持ちながらも、中学を卒業するタイミングまでは野球部を続け、高校に入学したと同時に音楽が好きだったので、バンドをやるため軽音部に入部したんです。

学生時代の上泉CEO

バンドを始めて気が付いたのですが、バンド活動ってどちらかというとDAOの考えに近いんです。

この日にこのライブに出るぞって、というのだけメンバーで合意して決めれば、あとはどう練習しても極端な話、何でもいいんですよね。

自分が何をすべきか分かりやすいし、やらされてる感があまりない。

自分で決められるということにすごい魅力を感じて、バンドは面白いなと思いました。

一方、同じ時期に、電通社員過労自殺事件がありました。私は当時高校2年生だったんですが、それを知った時、やっぱり社会って野球部のような中央集権的な組織なんだなとすごい如実に感じました。

私はいわいる進学校に通っていたのですが、いい大学に行って、いい企業に入ることが良い人生と、先生から言われていたんです。

同じ考えの方は多くいると思うのですが、その結果、残念ながら過労自殺をしてしまう人が世の中にいるというのが僕にとっては悲しかったんです。

そこで僕は就職しないで、バンドマンとして生きていこうと思いました。

ただちょうど同じ時期に、会社を経営している叔父に会う機会がありました。

当時考えている疑問とかを相談すると、「じゃあ自分でその社会を変えてみろよ」、「会社をやるっていうのは社会に影響与えられる」と言われたんです。

自分ができないことを人に任せることによって、自分が思っている何倍、何十倍のことをできるようになるという話を聞きました。

そして、それは面白そうだなと思い、会社を作ろうと決心しました。

たまたま大学のゼミでDAOやブロックチェーンのことを知り、分散型の組織っていうのは軽音部と似ていると考えました。

自分のやりたいことを実現するのにすごくいい組織形態ではないかと考え、DAOに関する事業をやろうと思いました。

大学卒業後、大手電機メーカーに入社されたと伺いました。卒業後、すぐに起業されるのではなく、会社員になられた理由は何かあったのでしょうか?

【上泉CEO】大学の頃から起業したいなというのは常々思っていたんです。

在学中、色んな事業に手を出したんですが、自分の事業を大きくしきれなかったんです。

自分1人が食べていけるぐらいは稼げていたのですが、収益を10倍、20倍にするやり方は分かりませんでした。

それで、自分はまだまだ社会で勉強する必要があるなと気づきました。

また、社会にインパクト与えられるようになりたいと思ったので、社会勉強がまずは必要だと思い、会社に就職しようと思いました。

就活では、コンサル会社と新規事業企画に携われる会社を中心にエントリーしました。

コンサル会社は会社経営者の方にアドバイスをする立場ですので、色々経営について勉強できるかなと思いました。

また、新規事業企画に携われる会社では、事業企画の経験が一からできるのではないかと思いました。

有難いことに、それぞれの会社から内定を頂きました。

ただ、自分で意思決定できる経験をしたいと思い、新規事業企画部に配属できる大手電機メーカーに就職しました。

1年半ぐらいで退職したのですが、「その会社、そんなにやばかったんですか?」みたいな質問をたまにされるんですけど、全然そんなことはなくて、とてもいい環境の会社でした。

新規事業企画からPoC(Proof of Concept:概念実証)をやらせてもらい、すごく勉強させて貰いました。

一方で大企業のスピード感で出来ることは限りがあるなと正直思うことはありました。

小さなことを決めるだけでも上司の許可が必要ですし、お金を使うとなると決裁に時間がかかります。

そうこうしてるうちにタイミングを逃してしまうこともありましたので、自分で事業する方がスピード感はあるなと感じました。

ある程度社会の仕組みを知ったと言うと偉そうな言い方ですが、新規契約するまでの流れや入金の仕組みがある程度分かるようになりました。

また同じタイミングで、ベンチャーキャピタルの方から、投資のオファーを頂きました。

それで退職する踏ん切りがついたという感じです。

インタビュー: Unyteを作られるまでの経緯

Unyte

会社員を辞められる際は、もう既にUnyteを作ると決められていたのですか?

【上泉CEO】社名はさすがにまだ決めてはなかったんですけど、DAO関連の事業をすることは決めていました。

創業が2022年の6月なので、もう2年経ちますね。

大学卒業後も、DAOに関する勉強やDAOでの活動は続けていました。

一方でDAOについて勉強していくうちに、まだまだDAOに関する制度は整ってないと感じていました。またDAOと名乗っていても、コミュニティの延長のようなDAOが多かったんです。

そして、DAOでの貢献度を表すトークンの配布や、取得したトークンの見える化が、気軽にできるようなサービスできたらなと思いました。

ブロックチェーン上で動かせるようなプロダクトを作れるようになったのは2022年末ですね。

Unyteが開発されるまでどのような点に苦労されましたか?

【上泉CEO】はい、やはりDAOに参加しやすい環境を如何につくるかということです。

最初はメタマスクを繋いでタスクの管理ができるプロダクトを作っていたんです。

ただメタマスクのアカウントを作るのに工数はかかるし、取り扱いも大変なので、これはどうにかしなければいけないと感じました。

オンチェーンでのタスク管理もやっていたのですが、コミュニケーションアプリのDiscordで活動される方が多かったので、最初はDiscordの中でトークン移動ができた方がいいなと思いました。

そこで、オンチェーンを一旦辞めてDiscord用のbotを作りました。

Discord用のbotを制作したところ、すごい好感触といいますか、試してみたいと言って下さる方が多かったんです。

有償で契約頂く機会も増えました。

ただDiscordのbot制作を1年ぐらいしていましたが、bot制作で僕らが食えていけるかというと難しい状況でした。

またマーケットの規模からすると、Discordのbot制作だけではどうしても頭打ちになるのでは?という考えがありました。

Discordを導入しているところにしか広げることができないですし、コミュニティとしても常にDAOをやってる方達向けのプロダクトなんで母数が少ないです。

そのため、DAO運営を一つのプラットフォームで可能にするものを作ろうという話が社内で持ち上がりました。

2023年の8月くらいにその意思決定をして、9月頭ぐらいからちょこちょこメンバーで作り始めました。

Local web3 Lab.@渋谷

Unyteを一番最初に活用したのは、東急不動産ホールディングス株式会社とMeTown株式会社の実証実験プロジェクト「Local web3 Lab.@渋谷」だと伺っています。どのような経緯で採用されるに至ったのでしょうか?

【上泉CEO】はい、「Local web3 Lab.@渋谷」は、MeTown株式会社CEOの田中さんからお声がけを頂いたことが始まりです。

MeTownの田中さんとは、2023年4月頃、DAOイベントで初めてお会いしたんです。

田中さんが、夕張メロンNFTを販売されていることは僕も知っていたので、色々お話をさせてもらったのが最初です。

それから3ヶ月後ぐらいのタイミングで、夕張メロンコミュニティ内での貢献度の見える化をされたいとご相談頂き、弊社作成のbotをコミュニティに導入頂きました。

その後、別件でちょっと相談したいことがあるとお話を伺い、それが「Local web3 Lab.@渋谷」でした。

ブロックチェーンが初めての方でもDAOを気軽に体験できるプラットフォームを探していると伺い、ちょうど私達が制作しているプロダクトがお役に立てるのではないかと提案しました。

Unyteが正式にLocal web3 Lab.@渋谷にて導入されることが決定したときは本当に嬉しかったですね。

社内では非常に盛り上がりました。

Unyteを使用されているDAOが増えていると伺いました。今後Unyteとして、どのような展開をされて行く予定でしょうか?

【上泉CEO】Unyteを使用したDAOが今後も増えていくと思うので、横の繋がり、つまりDAO間の繋がりを強くしていきたいと考えています。

せっかく同じチェーン規格でトークンを発行しているので、相互に連携ができたらいいなと思っています。

ただ、まだまだDAOはUnyteで体験できますと言いつつも、一つ一つの機能を深掘りはできていないので、機能開発はこれから続けていきます。

特に、今力を入れている「サンクストークン」の実装は絶対必要だと考えています。

サンクストークンとは、DAOのメンバーがよい活動をした際、メンバー間でトークンを贈り合えるという仕組みです。

この機能があると、DAO内での交流がより促進されると考えています。

また投票の結果を受けて、何らかのアクションを自動で行う、スマートコントラクトの醍醐味をまだ実装できていないので、NFTの送付やトレジャリーを自動で動かすことができたらいいなと思っています。

インタビュー: 日本DAO協会に関し

上泉さんは2024年4月1日に立ち上げられた「日本DAO協会」のRep Holderをされているとお伺いしました。日本DAO協会ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

【上泉CEO】日本DAO協会での主な仕事は3つあります。

まず1つ目は、今後様々なDAOが生まれてくる可能性があるので、DAOの「ガイドライン」を作ることです。

DAOはまだまだ分かりにくいことだらけです。

ですので、どのようなかたちで合同会社DAOを設立すると合法であるのか、というガイドラインが必要だと考えています。

2つ目はDAOの「認証」ですね。あくまで外部団体の1つとして、日本DAO協会が認定したDAOですと示せればといいなと考えています。

やっぱりどうしても詐欺といいますか、悪い使い方をされる可能性がないとは言い切れませんので、未然に防ぐことを目的としています。

最後は「政策への追加提言」ですね。

合同会社型DAOができるようになったと言いつつ、できることはまだまだ限られています。

より理想のDAOに近づけられるよう、政府に追加提言をしていきたいと考えています。

また、日本DAO協会としてコミュニティ運営もできたらいいなと考えています。

DAO事業者とかDAO運営者の人々が集まれる場所を作っていきたいなと考えています。

日本DAO協会で認定した方達が集まる場所みたいなのがあれば、情報共有とかもできますしね。

⇒「合同会社型DAO」については、Unyte「話題の”合同会社型DAO”をわかりやすさ重視で解説!」を参照ください。

インタビュー: Unyteの今後に関して

Unyteの今後の目標を教えて頂きたいです。

【上泉CEO】はい、先ほどお伝えしました通り、僕は人間を労働から解放したいという人生のテーマがあります。

ですので、まずは自分や自分と周りの仲間が、労働しなくても生きていけるぐらいにまずはしていきたいと考えています。

一応計画では2030年ぐらいまでに、その目標を達成できるよう頑張りたいなと考えているので、一刻一刻と迫ってきていますね。

当面の目標として、まずはUnyteを使ったDAOを増やすことですね。

今はUnyteの経営や日本DAO協会のお仕事など忙しくさせて頂いていますが、息抜きもしっかりしつつ頑張りたいと考えています。

休日はひとりカラオケに行ったり、本を読んだりしています。

あとは今同棲してる彼女がいるんで、よく遊びに行ったりしてます。

最近は仕事とプライベートの垣根みたいなのがなくなってきていて、休みの日でも仕事してる時が多いですね。

仕事は大変ですが、Unyteはメンバーにも恵まれているんです。

Unyteのメンバーは同じ大学の研究室の仲間が中心なんですよね。

今のメンバーとなら、確実に目標は達成できると考えているので、仲間と一緒に、これからも目標に向かって一歩一歩前進していきたいと考えています。